日本学術会議 URSI-C小委員会 第26期 第6回公開研究会の開催報告

テーマ:
「若手研究者による最新の研究紹介」


1. 報告者:日本学術会議URSI-C小委員会 委員 須藤 薫(村田製作所)

2. 日時:2025年10月10日(金) 14:00〜16:35

3. 場所:白浜荘 ゲストハウス琵琶湖
〒520-1223 滋賀県高島市安曇川町下小川2300-1 Tel. 0740-32-0451
WEB会議形式とのハイブリッド開催

4. 参加費:無料

5. 出席者数:現地19名, オンライン5名

6. テクニカルアレンジメント:須藤 薫(村田製作所)

7. ローカルアレンジメント:須藤 薫(村田製作所)

8.研究会テーマ:「若手研究者による最新の研究紹介」

9.講演
  • 14:00〜14:15 開会挨拶
    委員長 藤元 美俊(福井大学)
  • 14:15〜14:40 「5Gにおける不感地帯解消のためのメタマテリアル電波散乱シート
    に関する研究」
    村上 靖宜(電気通信大学)
  • 14:20〜15:05 「ガウシアンビーム入射トランスミットアレーによる低姿勢な機械的
    ビーム走査システム」
    中山 弦(東京科学大学)
  • 15:05〜15:30 「高速ビームステアリングを用いたビーム探索と同期手法」
    宗 秀哉(工学院大学)
  • 15:30〜15:45 休憩(15分)
  • 15:45〜16:10 「ALMA望遠鏡次世代受信機の広帯域化に向けた結合線路型
    90度ハイブリッドカプラの開発」
    牛山 太陽(電気通信大学)
  • 16:10〜16:35 「地上と宇宙をつなぐ無線通信機」
    白根 篤史(東京科学大学)
  • 16:35閉会
  • 20:30頃〜 イブニングセッション 「ワイヤレス給電の基本理論」
    大平 孝(豊橋技術科学大学)
10. 懇親会
 時間:18:30〜20:30
 場所:白浜荘
 参加者:18名

11. その他
 役員会を10月11日(土曜) 8:30〜9:30に白浜荘 ゲストハウス琵琶湖にて,オンラインとハイブリッドで実施.

12. 所感
 通常AP/MW/RCS/EDなどの分野ごとにテーマを決め,最新の研究成果について講演を行っていたが,今回は特定の分野に限定せず,電波関連の研究開発で活躍している若手研究者による講演を依頼し,最終的に5名の方の講演でセッションを組んだ.若手研究者が減少する中,今回は講演者を全て若手に依頼したこともあり,ベテランの研究者と若手研究者の接点を設ける大変貴重な機会となった.今後,低頻度でも良いので若手による講演セッションを企画することは,大変貴重な機会となることは間違いないため,続けていければ良い.
 村上 靖宜氏(電気通信大学)には,5Gにおける不感地帯を解消するためのメタマテリアル電波散乱シートの研究開発についてご紹介いただいた.通常の金属平板に対して本研究で設計されたメタマテリアル電波散乱シートに反射させることで,28GHz帯において広角な散乱パターンを実現できることをシミュレーションと実験結果でも示された.
 中山 弦氏(東京科学大学)には,ガウシアンビーム入射トランスミットアレーによる機械的ビーム走査システムについてご紹介いただいた.トランスミットアレーと1次放射器の間にガウシアンビームを生成する平面レンズを追加することで,ビーム走査をしたときの広角における利得劣化を改善した結果が示された.1次放射器とガウシアンレンズを一体化したラジアルラインカールアレーアンテナに置き替えることで,さらに低背化できることも報告された.
 宗 秀哉氏(工学院大学)には,6Gを想定したビームステアリングにおける高速なビーム探索と同期手法についてご紹介いただいた. 通常,複数のビームを探索するときは,ビーム数分のSSB(Synchronization Signal Block, 同期信号)が必要となるが,今回提案された手法では1つのSSBでN段階のビームステアリングを行うことができビーム探索時間を大幅に削減できることが示された.
 牛山 太陽氏(電気通信大学)には,南米に設置された世界最大の電波望遠鏡であるALMA望遠鏡用の広帯域90度ハイブリッド回路についてご紹介いただいた.Band8(385-500GHz)のIF用ハイブリッド回路は特性としてIF周波数の2倍以上をカバー必要であり,3-21GHzに対応した広帯域90度ハイブリッド回路の設計結果について報告された.
 白根 篤史氏(東京科学大学)には,衛星搭載用のフェーズドアレイ無線機の技術についてご紹介いただいた.実際に設計したKa帯フェーズドアレイ無線機を実例として,RFICに必要な高放射線耐性を実現する磁界結合型移相器の技術や低雑音増幅器の低消費電力化技術について報告された.
 いずれも将来の電波関連技術に向けた重要な研究内容であり,本研究会を通じて若手研究者とベテラン研究者の間で活発な議論ができたことはお互いにとって大変有益であった.





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