日本学術会議 URSI-C小委員会 第26期 第1回公開研究会の開催報告

テーマ:
「5G-Advancedおよび6Gにおけるミリ波帯・テラヘルツ帯の研究開発動向」


1. 報告者:日本学術会議URSI-C小委員会 委員 西村寿彦(北海道大学)

2. 日時:2024年3月19日(火) 14:00〜17:00

3. 場所:由布院倶楽部 会議室
(〒879-5102 大分県由布市湯布院町川上2952-1)
WEB会議形式とのハイブリッド開催

4. 参加費:無料

5. 出席者数:会場18名,オンライン11名

6. ローカルアレンジメント:眞田幸俊(慶應義塾大学)

7.研究会テーマ:「5G-Advancedおよび6Gにおけるミリ波帯・テラヘルツ帯の研究開発動向」

8.講演
  • 14:00〜14:15 開会挨拶
    藤元委員長(福井大)
  • 14:15〜15:05 「ミリ波帯・サブテラヘルツ帯の活用に向けたNTTドコモの取り組み」 須山 聡(NTTドコモ)
  • 15:05〜15:55 「RISによる伝搬特性改善」
    川本 雄一(東北大学)
  • 15:55〜16:10 休憩(15分)
  • 16:10〜17:00 「隠れたものを可視化するテラヘルツ波センシング技術」
    平 明徳(三菱電機)
  • 17:00閉会

9. 懇親会
 時間:18:00〜20:00
 場所:由布院倶楽部 宴会室
 参加者:18名

10. その他
 役員会を3月20日(水曜)09:00〜09:30に由布院倶楽部 352室にて実施

11. 所感
 5G-Advancedおよび6Gではミリ波帯・テラヘルツ帯などの高い周波数帯の利用が検討されている.ミリ波帯の電波は直進性が強く,見通し外のエリアをどのようにカバーするかが課題となる.そこで近年電波伝搬環境を動的に制御するReconfigurable Intelligent Surfaces(RIS)の検討が行われている.またテラヘルツ帯は確保できる帯域幅が広く,高解像度のセンサーとしての利用も検討されている.本研究会では,5G-Advancedおよび6Gにおける高周波数帯利用を精力的に行っている研究者・技術者を招いて講演していただき,その最新研究開発動向と課題について討論した.
 須山 聡氏(NTTドコモ)には,自社内でのミリ波・サブテラヘルツ波の活用事例について解説いただいた.高周波数帯カバレッジ改善技術,ノード間伝送技術,無線中継技術が実証試験レベルまで進んでいることをあげ,工場内伝送実験,および,サブヘルツ帯電波伝搬特性実測について紹介いただいた.さらに,6Gにおけるシステムレベルシミュレータの開発状況についてデモ動画を交えてご説明いただいた.
 川本 雄一先生(東北大学)には,電波の反射位相を調整可能な受動的電波反射面であるIntelligent Reflecting Surface (IRS)について,60GHz帯試作機と透明反射フィルムによる静的反射板の評価実験を通して,ビーム形成の方法とその特性について解説いただき,その他の理論的検討や今後の課題について議論していただいた.
 平 明徳氏(三菱電機)には,テラヘルツ波の特徴を生かしたセンシングシステムについて講演いただいた.波長が短いことから物体を透過する性質があり,反射波を観測・解析することにより,非破壊で内部構造を高精度にイメージングできることを,多くの実験結果を交えて解説いただいた.そのほか,動き検知や実装に向けた課題について討論した.
 3件の講演は,いずれも実証試験を行える段階まで進んでおり,ミリ波・テラヘルツ波の実用化に向けた取り組みが大きく進んでいることを示す内容であった.参加者にとって無線の産業応用における課題および今後の展望について理解が深まり,活発な討論が行われた.本研究会は,5G-Advancedおよび6Gにおけるミリ波帯・テラヘルツ帯の研究開発動向について知ることができ,今後の課題を参加者と共有することができ大変有益であった.





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