日本学術会議 URSI-C小委員会 第25期 第4回公開研究会の開催報告

テーマ:
「若手による最近の研究紹介」


1. 報告者:日本学術会議URSI-C小委員会 委員 吉田賢史(鹿児島大学)

2. 日時:2022年9月22日(金) 13:20〜16:30

3. 場所:休暇村 指宿 (いぶすき) 会議室 (WEB会議形式とのハイブリッド開催)
〒891-0404 鹿児島県指宿市東方10445,Tel.: 0993-22-3211

4. 参加費:無料

5. 出席者数:現地:21名,オンライン:5名

6. ローカルアレンジメント:吉田賢史(鹿児島大学)

7.研究会テーマ:「若手による最近の研究紹介」

8.講演
  • 13:20〜13:30 開会挨拶
    委員長 末松 憲治(東北大学)
  • 13:30〜13:55 「VHF帯電波ビッグデータと機械学習を用いた端末位置推定手法」 水谷 圭一(京都大学)
  • 13:55〜14:20 「代数演算可能で自己相関に優れたコードを用いたマルチトーン信号の
    低PAPR化」
    榊 裕翔(三菱電機)
  • 14:20〜14:45 「インピーダンス展開法の紹介:無線電力伝送システムの回路モデリング への応用」
    羽賀 望(群馬大学)
  • 14:45〜14:55 休憩(10分)
  • 14:55〜15:20 「ドローンへのワイヤレス給電に向けた空芯ビームの研究開発」
    松室 尭之(国際電気通信基礎技術研究所)
  • 15:20〜15:45 「メタ表面を用いたアンテナ特性向上」
    久世 竜司(熊本大学)
  • 15:45〜16:10 「シールド付多線ケーブルを用いたモード分割多重伝送方式」
    松嶋 徹(九州工業大学)
  • 16:10閉会挨拶
    副委員長 藤元 美俊(福井大学)

9. 懇親会
 時間:17:00〜19:30
 場所:休暇村隣接キャンプ場
 参加者:18名

10. その他
 役員会を9月23日(金) 08:30〜09:30に,休暇村指宿にて実施

11. 所感
 これまでAP/MW/RCS/EDなどの分野ごとにテーマを決め,最新の研究成果について講演を行っていたが,今回は特定の分野に限定せず,電波関連の研究開発で活躍している若手による講演を依頼し,最終的に6名の方の講演でセッションを組んだ.若手研究者が減少する中,今回は講演者を全て若手に依頼したこともあり,ベテランの研究者と若手研究者の接点を設ける大変貴重な機会となった.今後,低頻度でも良いので若手による講演セッションを企画することは,大変貴重な機会となることは間違いないため,続けていければ良い.

 水谷 圭一氏(京都大学)は,VHF帯電波ビッグデータを機械学習することで,VHF帯電波の受信のみで基地局や端末位置を推定するシステムの開発事例について説明した.近年話題となっているAI/ビッグデータを,電波関連のシステムに応用することで高精度な端末位置推定が可能となることが示された.
 榊 裕翔氏(三菱電機)は,近年広帯域化が進むRFフロントエンドの周波数特性の補償にあたり,マルチトーン信号の低PAPR化の必要性を提唱し,4種類のコードについて自己相関及びPAPRのシミュレーションを行い,定量的な評価を行った結果について解説した.
 羽賀 望氏(群馬大学)は,コイルを用いた無線電力伝送系の回路モデリング手法の研究成果について報告した.2つの解析事例について説明があり,羽賀氏が提案したインピーダンス展開法によって導出された回路モデルの解析結果は,従来の電磁界解析結果と良好に一致することが示され,提案手法の有効性が示された.
 松室 尭之氏(国際電気通信基礎技術研究所)は,マイクロ波を用いた無線電力伝送をドローンへの給電に応用する際,通常のアンテナビームではドローン中央に搭載されるミッション機器への照射電力が最大になってしまう課題に対し,中心にヌルを持つ空芯ビームを提案し,ラゲージガウシアンモードを応用する手法のシミュレーション結果について報告があった.
 久世 竜司氏(熊本大学)は,メタサーフェスをアンテナ特性改善に活用することを提案し,直線偏波を円偏波に変換させる事例と,2x2 LOS MIMOにおける通信容量改善事例について報告があった.さらに,いずれの事案でもメタサーフェスの辺縁部分はユニットセル通りには動作しない問題に対し,特性補償法が提案され,その効果を確認できたことについても報告された.
 松嶋 徹氏(九州工業大学)は,多線ケーブルを用いた従来の差動もしくはシングルエンド伝送ではクロストークが無視できない課題に対して,電磁界のモードに信号を割り当てるモード多重伝送により,原理的にクロストークレス通信が可能となることを提唱した.シールド付き4線ケーブルを用いて送受信システムを構築し,アイパターンを評価した事例について紹介があった.





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