日本学術会議 URSI-C小委員会 第25期 第1回公開研究会の開催報告
テーマ:
「IoT/5G時代における小形アンテナ技術」
1. 報告者:日本学術会議URSI-C小委員会 委員 西本 研悟(三菱電機)
2. 日時:2021年11月2日(金) 13:30〜17:20
3. 場所:野々市市交遊舎(オンライン参加可)
(〒921-8510 石川県野々市市二日市一丁目2番地)
4. 参加費:無料
5. 出席者数:現地:14名,オンライン:31名
6. テクニカルアレンジメント:西本 研悟(三菱電機)
7. ローカルアレンジメント:野口 啓介(金沢工業大学)
8.協賛:
IEEE MTT-S Nagoya Chapter
IEEE AP-S Nagoya Chapter
IEEE VT-S Tokyo/Japan Chapter
IEEE SSCS Japan Chapter
9.研究会テーマ:「IoT/5G時代における小形アンテナ技術」
10.講演
- 13:30〜13:40 開会挨拶
委員長 末松 憲治(東北大学)
- 13:40〜14:30 「IoT機器応用を目指した球及び円筒ヘリカルアンテナへの理論的
アプローチ」
藤田 佳祐(前橋工科大学)
- 14:30〜15:20 「2素子アンテナ間の小型な減結合回路と2周波共用化」
西本 研悟(三菱電機)
- 15:20〜15:40 休憩(20分)
- 15:40〜16:30 「立体・平面小形アンテナのQ値と広帯域化」
野口 啓介(金沢工業大学)
- 16:30〜17:20 「金属筐体内外における小形アンテナの一設計」
森下 久,道下 尚文(防衛大学校)
- 17:20閉会
11. 懇親会
時間:18:30〜20:30
場所:駅の蔵・金沢駅店 (https://www.ekinokura.jp/shop/kanazawa/)
参加者:13名
12. その他
役員会を11月2日(火) 13:00〜13:30に野々市市交遊舎とオンラインのハイブリッドにて実施.
13. 所感
IoTの普及に伴い多くの端末に無線通信機能が搭載され,端末自体の小型化とともに,アンテナの小形化への要求が益々高まっている.また,5Gの端末においては,通信性能向上のため,多周波数,多素子のアンテナを搭載する必要性が増している.一方で,アンテナの小形化には理論限界があり,小形化に伴い利得・帯域が減少する.したがって,要求に応えて限界に近づけるために,アンテナの小形化・広帯域化・多素子化の技術的な進展が望まれる.本会では,IoT/5G時代における小形化技術に焦点を当て,その最新動向と課題に関して講演・質疑応答により深く議論し,今後の見通しに対する共通理解を深めた.
藤田圭祐(前橋工科大学)は,IoT機器応用を目指した球及び円筒ヘリカルアンテナへの理論的アプローチについて講演した.球面アンテナの解析法,最大放射効率とQ値を示し,理論限界を解明するとともに,球ヘリカルアンテナと円筒ヘリカルアンテナにより理論限界に近いアンテナが実現できることを実証した.
西本研悟(三菱電機)は,2素子アンテナ間の小型な減結合回路と2周波共用化について講演した.アンテナの励振分布を制御可能な小型な減結合回路と,整合回路と一体化した小型・低損失の2周波共用減結合回路を示し,測定や計算により有効性を実証した.減結合回路の効果について共通理解を深めた.
野口啓介(金沢工業大学)は,立体・平面小形アンテナのQ値と広帯域化について講演した.小形アンテナのQ値を再考した後,複合モード共振による広帯域化設計と評価を実施した結果を示し,理論限界と比較した.今後は,MIMOを見据えて偏波の自由度を増やす研究が課題であることが示された.
森下久(防衛大学校)は,金属筐体内外における小形アンテナの一設計について講演した.高インピーダンスのアンテナにより,金属板が近づく方向によってはロバスト性が向上することを示した.また,設置環境に応じて入力インピーダンスを切替可能なアンテナを示し,VSWRが良好となる設置領域が拡大することを実証した.
本研究会は小形アンテナの小形化,高性能化に大いに資するものであり,参加者それぞれが思い描く未来像に対して現実の最先端研究開発状況の理解と技術課題・見通しに対する意識共有の場として,本研究会は大変有益であった.
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