日本学術会議 URSI-C小委員会 第24期 第3回公開研究会の開催報告

テーマ:
「ミリ波テラヘルツ波デバイス・回路とその超高速無線通信システム応用」


1. 報告者:日本学術会議URSI-C小委員会 委員 尾辻 泰一(東北大学)

2. 日時:2018年12月14日(金) 13:30〜17:20

3. 場所:秋保温泉 篝火の湯 「緑水亭」 「蓬莱」の間
(宮城県仙台市太白区秋保町湯元上原27)

4. 参加費:無料

5. 出席者数:18名

6. ローカルアレンジメント:尾辻 泰一(東北大学)

7.研究会テーマ:「ミリ波テラヘルツ波デバイス・回路とその超高速無線通信システム応用」

8.講演
  • 13:30〜13:40 開会挨拶
    太郎丸 眞 (福岡大学)
  • 13:40〜14:30 「共鳴トンネルダイオードを用いたテラヘルツ無線の現状と今後の展望」
    鈴木 左文(東京工業大学)他
  • 14:30〜15:20 「300GHz帯超高速無線通信用LSI技術」
    藤島 実(広島大学)
  • 15:20〜15:40 休憩
  • 15:40〜16:30 「Ga2O3パワーデバイスの最新動向フィールド実験」
    東脇 正高(NICT)他
  • 16:30〜17:20 「グラフェンを利得媒質とするテラヘルツレーザー・増幅デバイス技術」
    尾辻 泰一 (東北大学)
  • 17:20閉会

9. 懇親会
 時間:18:30〜20:30
 場所:保温泉 篝火の湯 「緑水亭」 「りんどう」の間
 参加者:13名

10. その他
 役員会を12月15日(土曜)08:00〜09:15に秋保温泉 篝火の湯 「緑水亭」713号室にて実施。

11. 所感
 電波と光波の境界域に位置するテラヘルツ電磁波は、様々な産業応用が期待されている。なかでも超高速無線通信の実現に欠かせない周波数資源として、近年研究開発が加速している。本会では、ミリ波・テラヘルツ波帯を対象として、材料、デバイス、回路、システムの幅広い研究分野の第一線で活躍する研究者が一堂に会し、学術的な側面からの研究と産業応用に向けた実用化開発の双方の最先端の取り組みについて、講演・質疑応答を中心として深く議論し、今後の見通しに対する共通理解を深めた。
 鈴木左文博士(東工大)は、共鳴トンネルダイオードをサブテラヘルツ発振素子・受光素子として応用した300 GHz帯20 Gbit/s級サブテラヘルツ波無線伝送実験の現状と100 Gbit/s級通信への展望について講演した。
 藤島実博士(広大)は完全シリコンCMOS集積回路技術による300 GHz帯無線通信用フロントエンド送受信回路の実現技術と将来展望について講演した。
 東脇正高博士(情報通信研究機構)は、次世代高耐圧高速トランジスタ材料として注目される氏が初めて開発に成功した酸化ガリウムの結晶成長技術とそのトランジスタ素子応用の現状と将来展望について報告した。  尾辻泰一博士(東北大)は炭素の単原子層材料グラフェンを利得媒質とする新しいテラヘルツレーザー・増幅素子の発見と開発状況を報告した。
 いずれも世界を先導する最先端研究開発であり、それぞれの技術の他技術に対する利害得失と解決すべき課題および今後の展望について深く議論が及んだ。ITU-Tによる275 GHz?3000 GHz帯の周波数割り当てがいよいよ来年度に予定される状況において、本研究会はポスト5Gが議論され始めている現在のその先にある6G、そしてBeyond 6Gへのロードマップの具体化に大いに資するものであり、参加者それぞれが思い描く未来像に対して現実の最先端研究開発状況の理解と技術課題・見通しに対する意識共有の場として、本研究会は大変有益であった。




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